東栄の家
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既に土地をお持ちだった若いご夫婦。
土地の情報を持って建築のご相談に来てくださいました。
土地を拝見すると、
なんと事務所から車で10分かからないくらいの場所!
これからご近所さんになりますね、
と色々とお話しながら
結婚を機に家づくりを始められる
お二人の門出を見ているようで、
とても嬉しく思ったのが始まりです。
愛知県西春日井郡 2022年完成
敷地面積:286.11㎡ (86.54坪)
建築面積:62.52㎡ (18.91坪)
延床面積:113.67㎡ (34.38坪)
構造・規模:木造2階建
家族構成:夫婦
敷地は道路から17mも奥まった旗竿敷地。
建物で周りが囲われているため
日当たりはあまり望めませんでしたが、
敷地が道路から奥まった場所にあるため
道路に面している一般的な敷地と違い、
とても静かでプライベート性の高い敷地にどこかワクワクしたのでした。
さあ、まずはご夫婦のご要望をまとめると以下の通り。
・対面キッチンでリビングに造作のソファが欲しい
・キッチンから繋がる長いカウンターテーブルが欲しい
・必要な部屋はLDK+居室×3、WICやパントリーなど収納
・トイレと洗面は各階に必要
・玄関横はアウトドア用品を収納出来るシューズクローク
・友達が遊びに来ることが多いため、人が集まれるような家
・洗濯動線スムーズに
・白と木を基調としたシンプルな空間
・LDKにPCなどが出来るデスクスペースが欲しい
また、
お話する中で垣間見えるお二人の考え方や趣味の話、
今の暮らし方だったり、好きな物、
ご夫婦のお人柄、
そういった事を全て一旦頭の中で整理して、
どのような家がお二人にとって良いのだろうと
ひたすら考える日が続き、
ご提案したのは可愛らしい三角屋根の中に
1本の木が生えているような家。
玄関から生えるこのシンボルツリーは
ご友人達を優しく迎え入れ、
2階のLDKからも眺められるよう
テラスを一部吹き抜けにして、
シンボルツリーがその吹き抜けを通って
2階まで伸びていく。
今回のように2階をLDKにしても、
狭小敷地で庭がとれなくても、
たった1本の木があれば
風に揺れる葉を眺め季節の移ろいを感じることができ
暮らしはずっと豊かになる。
これはご要望では無かったことではありますが、
お二人ならきっと
自然と寄り添う毎日の日々を大切に、
愉しんで暮らしてくれると思い
ご提案をしたところ、
とても喜んで下さり、
ようやく安堵で胸を撫で下ろしたのであります。
もちろん頂いていた要望もプランに落とし込み、
その後の打ち合わせで
何度も細かいプランの修正をして、
仕上げもサンプルを見ながら検討して、
最後はシンボルツリーも一緒に稲沢まで選びに行き、
皆がこれだ!と思う木に出会うことが出来た
1本のアオダモの木。
そして見積もりが出てから
毎回頭を悩ます減額調整も終わり、
確認申請などの申請も全て終わり、
設計をスタートして約半年、
ようやく地鎮祭をして、現場着工です。
今回は地盤改良も無く、基礎工事が着工。
配筋をしてアンカーボルト、ホールダウンといった金物を設置し、
コンクリートを打設して固まったところで
土台(ひのき)を伏せていきます。
そして待ちに待った上棟。
晴れ渡る快晴の中、
化粧材である杉の梁を傷つけないよう
慎重に組み上げていきます。
その様子をじっと嬉しそうに眺めておられたご夫婦。
「ずっと見ていても飽きないですね」。
それもそのはず
お施主さま和歌山の熊野にある
野地木材さんまでわざわざ足を運んで、
工場見学をして木を見に行ってくれたのですから。
そこで製材された木が
今こうして組み上がっていく姿を見て
込み上げる思いはひとしおです。
ほぼ日帰り弾丸で和歌山まで車をかっ飛ばし
疲れの残る中、
「いやぁ行って良かったです〜」
と打合せに笑顔で現れたお姿、沁みました!
無事に上棟を終えて、一つ気になることが。
天井の仕上げ材となる構造材のラーチベニヤです。
この時コロナ禍真っ只中だったため
ベニヤが市場から無くなってしまい、
いつもなら天井の仕上げ材となる綺麗なベニヤを
材木屋まで選定しに行くのですが、
今回はそれが出来ませんでした。
品薄で大変な中
材木屋さんがベニヤを集めて下さったのですが、
ベニヤの色味がバラバラ、節もとても目立つ。
これは、何か綺麗な化粧材を貼らなければ。
ご夫婦にもご説明をして
シナベニヤを急遽貼る事になりました。
貼ると言っても「擦り合わせ」といって
梁と梁の間にピッタリ隙間無く
カンナで0.何ミリ単位で何度も調整しながら
下から貼っていくという大変難しい職人技。
腕がパンパンです!と笑い飛ばしながら
お見事としか言えないような
棟梁の素晴らしい出来上がりに
一同、関心するばかりでした。
ようやくホッと安心したところで、
現場は床張りへ。
1階は杉、2階はひのきの無垢フローリングのため、現場には木の良い香りがたちこめます。
フローリングも無駄の無いよう
貼り方を全て割付して図面に落としこみ、
綺麗に貼っていただきました。
床が終われば、壁のプラスターボード貼り。
今回は床と壁の見切り材を目立たなくするために、
アルミのL型巾木としたため、
逃げがきかずピッタリの寸法で
壁を納めなければいけません。
また無垢フローリングのため
フローリングの伸縮も考慮する必要もあり、
かなり緻密に細かい寸法を決めて、
巾木を納めてもらいました。
平行して進んでいた外壁のガルバリウム。
今回は小波板貼りです。
通常であれば出角のコーナーは
コーナー役物を使用して納めますが
無い方がすっきりして綺麗なので今回は使いません。
コーナーも手で角を折って貼っていきます。
(職人泣かせ!)
さぁ、中は建具の枠、造作のデスク、本棚が終われば、
最後まで予算と格闘した
ダイニングテーブルの出番です。
「お友達を呼んでテーブルを囲んでワイワイ食事したいんです」
とキラキラした目でおっしゃっていたご夫婦。
愛着のわくテーブルにしてもらいたい。
手触りも使い心地も良く、
ずっと使ってて味が出てくるような。
まず材料はタモの無垢板にしました。
と言っても無垢板を横に5枚くっつけた
ハギ板という材料。
無垢一枚板より断然コストを抑えられ、
無垢板と同じ質感、手触りが得られます。
これを大工さんが加工して、取り付けてくれました。
形は動線の邪魔にならず
皆んなが食卓を囲めるように、
片方をアール形としました。
脚は鉄の丸脚で製作して、
テーブルからキッチンの腰壁へと
カウンターが長く繋がっていくデザイン。
大工工事が終われば
仕上げ工事へとうつります。
壁は<ルナ漆喰>という
ローラーで仕上げる漆喰壁にしました。
寝室の漆喰は、
ご夫婦と私達とでセルフビルド塗装。
少しでもコスト削減のため、
という理由でもありますが
自分達の家づくりに少しでも参加したいという
想いのお施主さまが多く、
我が事務所の恒例行事となりつつあります。
「安藤さん塗るのめちゃくちゃ綺麗〜しかも早いですね」
とよく褒めていただきますが、
はい、腕には結構自信あります。
件数重ねてますから!
今回床のフローリング塗装もご友人方が
大人数で手伝いに来て下さり、
皆んなで楽しく塗装しました
仕上げ工事も終盤に差し掛かり、
今回はステンレスのシステムキッチン、
そしてトイレ、洗面、給湯器などの設備も入り、
ナラ材で作った造作の建具も入り、
照明も取り付き、
造作ソファや家具も入りました。
そして玄関先のこのベンチ。
一度は減額で無くそうかともなりましたが、
やはりどうしても欲しいと最後まで残しました。
このベンチはお友達を
「ようこそ〜」
とお出迎えしてくれるような大切な存在。
モルタル金鏝で仕上げていきます。
良い感じ。
そして最後に家のシンボルツリーである
アオダモの木を植樹して
高さもぴったり、完成です。
植樹時は残念ながら
秋で葉が付いている姿が見れませんでしたが、
翌年の春にご夫婦が素敵な写真を送ってくれました。
アオダモが見える
テラスでたまにBBQをされているそうです。
愉しく暮らしていただけていて、
とても嬉しいです。
ご近所さんなので、
見かけたら、また声掛けて下さいね。
どうもありがとうございました。