大高の家

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​『瓦の屋根で上からずーっと下りてきてそのまま塀になるような家がいい

これがご主人さんのご要望。

極狭前面道路かつ突き当たりという

厳しい敷地環境の中

​道路側に駐車場を3台確保し

​残地でその平屋のような2階建てを計画しました。

愛知県名古屋市 2015年完成

敷地面積:314.41㎡ (95..11坪)

建築面積:69.56㎡ (21.04坪)

延床面積:119.24㎡ (36.07坪)

構造・規模:木造2階建

​家族構成:夫婦+子供2人

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是非一度土地を見てきて下さい

その言葉からはじまって

現場を探すも見当たらない。

どこから入ろうにも入れない。

小一時間探し続けて

最初に『こっちでは絶対ないね

と早々に引き返した極狭登り坂に挑むと

そこに現場はありました。

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ここからの景色良いねとか

水道の引き込みちゃんとあるかなとか

そんな余裕すらなく

第一声が

レッカーとかトラックとか入れる?

でした。

これは計画以前の問題かしらと

早速監督さんに連絡して

関係各所に確認して頂いたところ

工事はできる。ただ2tしか入らんで少しお金がかかる

との返答。

われわれ建築士は『余計なお金』に敏感ですが

とりあえず建築可が確認できて計画を始めたのが

​この現場の序章です。

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土地購入から着工まで期間があいたので

草は縦横無尽に生え

高低差がある敷地のため

ゲリラ豪雨による低地への土砂の流出の対処

定期的なU字溝のごみそうじなど

雑務も多々ありましたが

お施主様やご友人などのご協力あって

着工まで

無事辿り着きました。

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地盤は

もともと造成される際に盛り土がされており

数十年経過しているとはいえ

締め固まり具合が不均一で

場所によっては沈下障害を起こす可能性が懸念されることから

​柱状改良を行いました。

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1mほどある高低差は

安全面と費用面で

基礎を深くつくって対処し

重量ブロックで土を留めました。

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基礎工事と造成工事が

終わり

計画をはじめてからほぼ一年

​待ちに待った上棟です。

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爽やかすぎる秋晴れの中

静かな静かな住宅街には

たくましい​男達の奏でる木槌の快音が響き渡ります。

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棟梁が事前にゴソゴソと仕込んでおいた

ちょっと特殊な屋根下地も

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​ぴったり納まって

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現場に集まられた多くの人に​見守られ

閑静な周辺環境に溶け込むように

 

そっと​佇みました。

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上棟が終わって

まずは雨仕舞いです。

ご主人さんのこだわり

いぶし銀の瓦です。

瓦は見た目が重たいイメージが…

と言われますが

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真一文字軒といって

軒先が一直線になる瓦をつかったり

のし瓦といって

屋根の頂上部分の瓦を高く積まないようにすれば

軽さが出せます。

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屋根工事が終わって内部の工事に入り

まずは

断熱工事と並行して床暖房工事がされます。

大高の家の床は

国産杉の無垢フローリングですので

板が反らないように

低温水式床暖房『うらら』​を採用しています。

Utopian Radiant Land …「URala」【うらら】

光輝く理想的な大地

​が名前の由来だそうです。

メーカーのカタログから文章を引用させて頂くと

『無垢フローリングの場合、

一般的な床暖房などで60℃以上に加熱されると

急に歪みはじめるといわれています。
木が大地に生えていた時に経験したことのある温度範囲

を超えてしまっているからです。』

それに対して『うらら』は

低温の温水40〜55℃で床を温めるので

木の反りを予防し

かつ

低温やけどの心配なく、お子様もご高齢の方も

安心してお昼寝できるというわけです。

60℃以上の床暖房器具を採用する場合

幅広の無垢フローリングが使えなかったり

幅広でも3層に重ねた積層タイプのフローリングになってしまうので

​お施主さんにとっても建築士にとっても

​かゆいところに手が届いている製品なんです。

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設備屋さんが

床暖房を取り付けている間

大工さんは

天井下地を組んでいます。

5寸勾配の屋根に沿った勾配天井は

各部屋に変化をつけ

窓からの景色へと、空間を絞り込んでくれています。

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一番高い部分は

小屋裏収納として使えたり

​換気扇を設置することで

吹き抜けから上がってくる

夏の熱い空気を屋外に排出することができたり

​有効に使えることができ

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どこのご家庭も共通して

納戸、小屋裏に仕舞いたいもので真っ先に挙がる

 

一年に一度登壇されるお人形様

扇風機、温風ヒーター

アウトドアグッズ

などダンボールに入れて収納する

どうしてもかさばってしまう所謂『季節物』の

置き場としては

​大変重宝されるスペースです。

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天井下地が組み終わる度

『隠してしまうのがもったいないくらい美しい』

と思ってしまうのは

職業病ですが

下地がきれいということは

仕上がりがきれいになるという証拠でもありますので

​ここで一安心致します。

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天井に石膏ボードが貼られると

急に部屋になって

もう住めそう、住みたいという

感情が湧いてきますが

工事はまだ折り返し地点で

次は大事な大事な

『庭とリビングをつなぐ窓』​へ。

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打合せ当初、概算の段階では

アルミサッシだったこの『外と中をつなぐ窓』は

お施主さんとの

『変更・切り捨て』という

断捨離にも近い金額調整

粘り強く行ったことにより

『木製建具』に

​グレードアップすることができました。

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造作材と呼ばれるこの無垢の化粧板は

樹種によっては

材木屋さんが

丸太で買って製材し

加工屋さんが

荒々しい表面をつるつるにして

正確な幅や厚みに整えて

やっと

現場に届きます。

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お安くないこのお化粧材

失敗は許されませんよ』と

監督さんに囁かれているような

重たいプレッシャーを背負って

リスクしかないこの状況で

0.5mm単位で指示された図面だけを頼りに

しかも一人で作ってしまうのですから

​頭を上げられません。

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大工さん。

1mmのくるいもありません。

​ありがとうございます。

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開口部の造作ができあがると

残すは

大工さんの工事による仕上げ工事

大工工事大詰めです。

空間を彩る無垢の化粧材が次々と

​納められていきます。

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階段は床に合わせて

無垢の杉で

踏板だけで蹴込板のない

ストリップ階段でつくって頂いております。

蹴込板がないことで壁ができず

​空間を連続させることができます。

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階段ができると

現場を見に来た子供達が

勝手に登ってしまうこと

往々にしてございますので

続いて

吹抜手摺に移って頂きました。

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吹抜手摺は

庭からの風が抜けるように

また1階からも2階からも視線が抜けて

家族の存在が感じられるように

縦格子にしています。

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ダイニングの天井には

ヨシベニヤといって

蒲(がま)を薄いベニヤに綿糸をつかって

留めたパネルを貼っています。

ヨシベニヤという名称ですが

実際は『』ではなく『』を

使っているそうです。

いずれにしても

水辺、湿地に群生する植物で

​茎の中が綿のようになっているため

調湿効果と吸音効果があって

視覚的にも優しい

非常にコストパフォーマンスの高い材料です。

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大工工事完了と共に

​外壁の板金工事も終盤に差し掛かりました。

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窓周りも笠木もきれいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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内部は

仕上げに関わる業者さんが

順番に順番に

ぶつからないように入ります。

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建具屋さんが工場でつくった建具を

現場に運ぶと

塗装屋さんが塗りにみえて

ガラス屋さんがガラスを嵌めにみえて

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塗装屋さんガラス屋さんが帰られると

​また建具屋さんがいらっしゃって

​建具を取り付けます。

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左官屋さんがみえて

​キッチンの床をモルタルで仕上げると

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キッチン屋さん

自家製のキッチンを取り付けにいらっしゃり​

家具屋さん

自家製の​家具を取り付けにいらっしゃいます。

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クロス屋さん

沖縄でつくられた月桃紙を貼り終えると

電気屋さん

美濃和紙をつかって美濃でつくられた照明を

​取り付けてくれます。

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この

たくさんの人と1つのものをつくること

楽しくて楽しくて

そこで暮らすということに携わることができて

大変だったことも全て報われて

本当に幸せだなって思います。

内装仕上げの締めくくりで

私たちも何か足跡を残したい』と

お施主さんが選ばれたのは

​『見えない収納の漆喰塗り

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本来コテで滑らかに塗る漆喰ですが

意外にむずかしいねぇ。

なんて呟かれながら

ご夫婦は漆喰の団子を一つずつ

これからよろしくねという気持ちと共に

壁に押し付けておられましたし

両家のご両親もみなさん

手伝いにきて下さり

本当に仲が良くて

感心しながら

​様子なんか見に行けば

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もう僕たち疲れちゃってさ〜』と

『さじを投げる』ならぬ『コテを投げ』

素手で塗られたりしてて

これも家族の証』と自分勝手にうなづいて

​ほのぼのさせて頂きました。

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漆喰セルフビルドも何とか終わって

水道屋さんが屋外の配管を結ぶと

植木屋さんが植樹して

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黒竹を植えた真裏に

フェイクでない本物の黒竹をつかって

竹屋さんが竹塀をつくり

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外構屋さん

道路と住まいを

つなげてくれたら

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揖斐川まで探しに行った

大きな石が

​門番となって完成です。

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