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暮らしやすさ



我が家の住まいは一風ちょっと変わっていて、

一つの敷地に母屋、ハナレ、事務所と3つの建物が建っています。

建物の大きさでいうと、母屋>ハナレ>事務所という感じ。


2階建ての母屋には主人の父と母が暮らしていて、

平屋の小さなハナレに我々家族4人が暮らしていますが、

ここ数年で子供が大きくなるにつれ少しずつ暮らしも変化してきました。


学校から帰ってくる時間は私達はまだ事務所で仕事をしているのと、

夕方になれば私は母屋の台所で晩御飯を作っているので、

子供達は学校から帰宅してからはおじいちゃんおばあちゃんのいる母屋で過ごす事が多くなり、

母屋でご飯、お風呂を済ませ、寝る時だけハナレに移動する、というような生活に。

もともとハナレにはお風呂が無く、食事も母屋で皆んな一緒に食べていたのと、

また、上のお姉ちゃんが小学生になり自分の部屋が欲しいということで、

母屋の空いていた2階の部屋を子供部屋にしたりして、

今では生活の殆どが母屋での暮らしに変わりつつあります。


そこである問題に直面します。

今まではハナレに皆んなの服などを収納していたのですが、

拠点が母屋に進出している今

洗濯した服を収納する場所があちこちあって、

とんでもなく面倒くさい、ということ。


洗濯機は母屋にあるので、母屋でたたんで

ハナレに持っていく服、母屋2階の子供部屋へ持っていく服、寝巻きなどは母屋1階浴室前、など

部屋をまたいで、棟をまたいで、それぞれ収納していかなければなりません。


また、親になって初めて知りましたが

子供が小さいうちは服を汚すことが多く着替えをすることが多いということ。

なのでリビングやキッチンの近くに子供服が収納出来て

さっとすぐ出せたりすると、とても助かる。


そこで、「家族の服収納」なるものを

母屋の廊下に作り、そこに子供服・我々の普段着・寝巻きなど

家族の服をまとめて一箇所に収納することに。


そこは浴室の前の廊下で、浴室やキッチンからも近い。

もちろんリビングからも。


そうしたところ、

とても便利で暮らしやすくなりました。

衣類を一箇所に収納することが出来るってなんて楽!


この洗濯収納問題、

ただ私がめんどくさがり屋なのもあるかもしれないですが、

今までのお施主さんの中にも、同じような思いをお持ちの方が何人もいて、

実際こんな面白い要望がいくつかありました。


・リビングの横に小さな洗濯部屋を作って、そこで干してたたんでそこで収納出来る引き出しが欲しい。

 →干して、たたんで、しまうが一つの部屋で完結。

・浴室→洗面→家族のWIC(ウォークインクローゼット)が並びで欲しい。

 →お風呂に入って、出たらすぐにWICで着替え完了。

朝もWICで着替えて、脱いだ服は洗面にある洗濯機へIN。リビングからも近いのがポイント。


みなさん口を揃えて言うのが

普段着をしまえる収納がリビングや洗面の近くにあるととても便利だということ。

わざわざ上の階や下の階にあるクローゼットまで行くの大変ですものね。

(そんな中、遠くてもそんなに苦じゃないですよというお施主さんもいて本当に人それぞれで面白い!)


そしてもう一つ、子供部屋のこと。

2階の子供部屋、作ってはみましたが子供達全然使いません。笑

使うのは友達が来た時くらいで、普段はリビングにずっと居ます。宿題もリビング。


なぜ2階の子供部屋に行かないのか、ちょっと考えてみました。

そこで出た答えが、今の子供部屋はリビングから遠く階も違うため完全に独立した部屋だから。

これが、例えば階が違ってもリビングと子供部屋が吹き抜けとかで断面的にゆるく繋がっていたり、

同じ階に子供部屋とリビングが近い場所にあったりすれば、

きっと子供部屋で過ごす事もあるのだと思います。

子供は小さいうちは少しでも親の気配がする場所にいたいと思っているのですね。


なので家の間取りや空間が

その家族の暮らしにとっていかに需要なことなのかを身を持ってつくづく感じるのです。


せっかく子供部屋を作るのならば、

ちゃんと小さな頃から機能する部屋を作ってあげたい、

もしくはもう完全に割り切って小さいうちはリビングで過ごし、

ある程度大きくなったら子供部屋を使ってもらうという考えもありますよね。

その場合はリビングは子供部屋を兼ねるので、子供の物が収納出来るスペースをちゃんと確保し、

子供が遊べる余白を残しておいてあげたい。


もちろん家族によって暮らしはそれぞれ。

正解なんてないのですが、決められた間取りで窮屈に暮らすより、

自分達に合った家で暮らすことが出来たら

きっと家族皆んなが気持ちよく過ごせるのではないかと思います。


なんとなく不便だな、暮らしにくいなとか、

もっと収納が欲しいな、ここ狭いなとか、そんな小さな引っかかりが少しでも無くなって、

この窓から見える景色が好きだな、とか

風が吹いてしみじみ心地良いなと感じたり、

夜の静けさに沁み入ったり。

そういったことが自然と感じられるような家にしたい。


設計事務所と聞くと何かデザイン性ばかり追っているイメージがあるかもしれませんが、

暮らしというものを日々掘り下げて考え、皆さん探求しているのだと思います。

あくまでも住む人の暮らしがベース、

その暮らしを設計することで

少しでも人生を彩り豊かに過ごしてもらえたらなあと思います。



2025.1.28           ando.Y



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